あすなろ通信5月号発送手配が終わりました!
今回のあすなろ通信のテーマは『釘打ちの儀』です。
『なにそれ?』とか『懐かしい』と思う人が多いと思います。
興味がありましたら、読んでみてくさい。↓
みなさん、こんにちは。毎度あすなろ通信をご覧いただきありがとうございます。
学生時代の
通信簿、国語の評価は1か2だった私ですが、何とか人様に読んで頂ける文章が書けるようになり、自分でも驚いています… 今回は『あ~そんな事あったねぇ~』なんて、昔の葬儀をチョット思い出すようなネタをご用意しました。
通夜、葬儀が終わり、ご遺族・ご親戚そして近所の皆さんや会社関係の方たちが故人様とお別れをし、ご遺族の皆さんで棺の蓋を閉め終わると、葬儀社スタッフが片手に2寸位の釘を、もう片法の手に
金色に輝くハンマーを持って棺の頭部に寄ってきて、棺の顔を覗く窓の上に釘を立て、金色のハンマーで2寸の釘を1寸ほど打ち込んでいきます。
その後ご遺族の皆さんが、石鹸箱位の大きさの
大理石の塊で釘を軽く2回ほど叩き、ある程度ご遺族の皆さんが叩き終わったら、残りの釘を葬儀社スタッフが金色のハンマーを使ってすべて打ち込み、出棺の挨拶~出棺となるわけです。
この棺に釘を打つ儀式を『釘打ちの儀』といいます。
この『釘打ちの儀』は、葬儀社側からすると結構厄介で、様々なトラブルが起こります。
棺の素材は様々ですが、多くは桐または合板で出来ています。桐は釘が入りやすく打ち損じがないのですが、合板の場合はハンマーの
入射角が悪かったり、ハンマーの芯で釘を打たないと自分の手をハンマーで打ってしまったり、釘が途中で曲がってしまったりして、ご遺族が曲がった釘を訝しげにしながら打つことも…
また、せっかく釘を綺麗に葬儀社スタッフが打てたのに、ご遺族の子供が大理石で力任せに叩き釘を曲げてしまい、最後に葬儀社スタッフが釘を全て打ち込めない…なんてことも有りました。
そんなトラブルの原因になりやすい『釘打ちの儀』を何故やるのか?疑問に思うところですが諸説あります。
まず一つ目、昔の棺は作りがあまく、葬列を組んで火葬場まで歩いたりしていると揺れて蓋が落ちてしまうために釘をした。
二つ目、死は穢れと考えるところから、死者=穢れに対して蓋で閉じ、釘を打ち閉じ込めるようにした。
三つ目、棺に釘を打つことによって、わざと悲痛な思いをして死という事実を受け入れてもらうための荒療治…なんて意味もあるそうです。
シャレではないですが『区切りをつける』『区切り』『釘』…となり釘を打つとなったという説もあります。
私がこの業界に入って20年とちょいちょい経ちますが、入りたての頃には必ずと言っていいほど『釘打ちの儀』が行われていました。しかしながら、西暦2000年頃を境に『釘打ちの儀』をやらなくなったように思います。
もしかしたら
年齢が40歳より下の葬祭業や宗教者の方も含めて、『釘打ちの儀』を知らないかもしれません… 『
釘打ちの儀』を行わなくなった理由として一番大きいのは、故人の頭上(もちろん蓋の上ですが)に釘を打ち、金槌や石で叩くことは見た目も精神的にも負担が大きく、いい印象を持たないことです。
私的には、この『釘打ちの儀』はご親族に対する精神的負担が有りますので、勿論やらないほうが良いと思います。
そして実はとても
不器用なので、釘をぎこちなく打っている無様な姿をお客様に晒さずに済みますので、『釘打ちの儀』という風習がなくなり少しホッとしております。
ただ、お客様の望みで(地方から葬儀に出てくる親族等)『釘打ちの儀』をしたい!しなければならない!なんて事がありましたら、もちろんご対応いたしますのでその際はどうぞご相談下さい。